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OT☆高次脳機能障害というものはご存知ですか??失語症編

こんにちは☆

 

久しぶりに医療系の記事です♪

なるべく難しくならないように書きたいと思います。

 

以前にも書きましたが、作業療法士の仕事は選択肢が豊富で訓練内容はとても幅が広いです。その中で、私が強く興味をもち、積極的に担当していたのは高次脳機能障害(特に失語症)がある方のリハビリです。

 

なぜ興味を持ったかというと、わからないことばかりだから。手足の麻痺も大変です。しかし、目に見えない症状を抱えたまま退院して生活していくことも非常に大変です。家族や周囲の人にも理解してもらえないことが多く、様々な面に支障が出てしまうことがあるのです。

 

これを本人・家族・周囲の人がきちんと理解することで対応は変わります。対策も大きく変わります。病気だからと諦めるのではなく、症状を理解し上手に付き合うことで前向きに人生を歩んでもらえたらと思います。

 

 

高次脳機能障害は目に見えるものもありますが、目には見えなかったりわかりにくいものもあり医療従事者や家族・本人でも判別が難しいことが多々あります。

 

少しでも高次脳機能障害というものが知られるようになり、障害を持たれる方もその方にかかわる方も様々なストレスが軽減できたらいいなと願います。

 

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高次脳機能障害とは?

大脳の損傷により言語・思考・記憶・行為・学習・注意障害などの機能に障害が起こった状態です。

 

つまり病気や事故によって脳がダメージを受けたことで、注意が散漫になって落ち着かなくなったり、ちょっと前のことを忘れてしまったり、覚えておかないといけないことを忘れてしまったり、前はできたのに順番を考えて着替えをできなかったり、話ができなくなることです。

 

 

なぜ高次脳機能障害になるのか?

脳卒中

・事故による頭部外傷

・脳腫瘍

脳炎

低酸素脳症

などなど、様々な原因があります。

 

高次脳機能障害の種類

失語症

・注意障害

・記憶障害

・失行症

・失認症

半側空間無視

・半側身体失認

遂行機能障害

・地誌的障害

・行動と感情の障害   などがあります。

 

単発で出るというより、言葉がわからないから記憶できないとか、記憶できないから物事を順序立ててできないとか、体を認識できないから着替えられないとか、様々な症状が絡み合うことが多くみられます。

また目は見えるのにご飯が半分食べられないとか、麻痺はないのに体の半分をぶつけてあざだらけとか本当に不思議な症状が多いのです。

 

いくら病気とは言え、急になると本人も家族ももちろん医療従事者も戸惑います。

 

そして聞きなれない言葉ばかりです。言葉聞いてなんとなくわかるものもあれば、どんな症状なの?って思うものもあると思います。

全部ここで書くのは難しいので、今回は失語症にスポットを当てたいと思います。

 

失語症とは?

失語症は左大脳半球の損傷によっておこることが大半です。

(中には利き手の違いによって優位半球が逆な時に右半球の損傷で起こることもあります。稀です。脳のふしぎですね☆)

左半球の損傷ということは、右手足の麻痺と同時に見られることが多いのです。

 

失語症にはたくさん種類があります。細かいと難しいので…

大きく分けると

①しゃべることができる失語症ウェルニッケ失語など)

②しゃべれない失語症(ブローカー失語など)

③両方(理解も会話も難しい全失語など)

 

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失語症に対するリハビリとは?

言葉に対するリハビリは言語療法(ST)さんが中心に行います。

んじゃ、作業療法は??

 

体に麻痺があったり他の高次脳機能障害がある場合は、まずは生活のリハビリや手のリハビリを優先したりします。もちろん訓練の中で会話を通して自然に訓練していきます。

 

体に麻痺の見られない失語症がある方は理学療法を早々に卒業することが多いので、言語療法と作業療法でみっっっちりリハビリします。

 

私が重点を置いていたのはメモの活用・手帳の活用・歌の活用です。

失語症はすぐにすべて回復していくわけではありません。(もちろん程度によります。)逆に言うと長い時間をかけてゆっくり改善していく面があります。

 

なので理解できるけどうまく話せない方にはよく使う言葉をカードにしたりメモにして持ち歩いてもらい、他者へ伝えられるようにしていきます。

 

理解の方が難しい方には簡単に伝えられるように、絵や理解できる言葉を増やしカードにしてコミュニケーションをはかります。

 

上記のレベルを徐々に上げていき、退院後の生活を見据えてカードや手帳の活用を本人や家族が主体になってできるように援助していきます。

 

失語症の方の多くは数字の理解にも影響を及ぼすことが多いです。

数字って生活の中には欠かせません。時計・お金・日付、、、

これは反復練習や実践も大事です。

 

なのでよく買い物訓練や料理訓練をしました。

買ってくるものをメモし、スーパーへいき必要なものを探しお金のやり取りをする。そして時計を見ながら時間内に戻るなど複合的な練習を行っていきます。

毎日同じ訓練も飽きるので、様々な工夫を凝らしながらしていくのも大事です。

 

お料理も重要です。何をどんな手順で考えるのかその人がわかるようにメモを作り調味料の確認、時間の計算、人数配分など。。。

 

日々の生活は普通にこなしているときは何ら気にならないことも、病気をして障害を持つとその手順の複雑さや難しさに気が付かされます。

 

性別や家族の違い、年齢や住む場所によって役割は大きく変わります。

リハビリはその人の役割や立場に合わせて必要なことを行っていくことが大事です。

 

笑顔になって退院してもらうこと、退院しても本人・家族が安全・安心に生活していけるよう支援していくのが一番なのです。

 

<記憶に残る患者さんとのリハビリ>

記憶に残る患者さんはたっっっくさんいらっしゃいます。

今でも鮮明に思い出せるし、元気にしていらっしゃるかなと気になる方はたくさんいます。その中でも非常に驚いたことを今回は書きたいと思います。

 

60代男性。とても活動的でおもしろいお父さんだったそうです。

失語症は全失語。本当に重度でした。麻痺もあり、作業療法は手のリハビリ、生活のリハビリ、高次脳機能障害のリハビリと多岐にわたりました。

 

失語症は伝えたいことが伝わらなかったり、いきなり異世界に行った感覚になるようでストレスはすごかったのです。ガス抜きをさせてあげたいなと考えている時(入院生活は長いので精神的なフォローも大事な役割です)、ご家族様にカラオケが好きだったことを聞きました。

失語症重いし、できるかな。。。と、思いながら十八番だった曲をネットで調べて一緒に見てみると。。。

上手に歌うじゃないですか( ゚Д゚)( ゚Д゚)( ゚Д゚)

本人も家族も私もとっても驚きました!!!

病前と全く同じとはいきませんが、普段話ができない・声を出すのがストレスという入院生活の中ではとても良い発散です!

 

調べてみると歌は言葉ですが、音楽をつかさどるのは右の脳!なので新しい曲を歌うことは難しいかもしれませんが、慣れている歌を歌うことはできちゃうのです!

 

この出来事以降、リハビリの最後に必ず歌を歌うというのが定着し、笑顔が増えたことがとても印象的でした☆

全ての人に適応するわけではありませんが、歌のチカラは偉大です☆

 

失語症は言語中枢が障害を受けていますが、思考力や認知機能が低下しているわけではありません。

そこを理解した上で、困っていることを理解し、どうしたらコミュニケーションをとることができるか!

もし、失語症の方にかかわることがありましたら少し思い出してもらえたら幸いです。

 

書きたいことが多すぎて、恐ろしい長さになってしまいました。

長文にお付き合いいただきありがとうございました。

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